バーチャルオフィスは、住所貸しをメインとしたサービスで、当然ながら法人登記も可能です。
しかし、中には激安のバーチャルオフィスが、詐欺などの悪質業者に利用されたこともあって、「バーチャルオフィスの住所で法人登記は違法にならないの?」「そもそも怪しい業者が使うものでは?」と疑う声もあります、、。
結論から言うと、バーチャルオフィスの住所で法人登記は違法ではないです。ただし、業種によっては許認可がもらえない(違法になる)場合もあるので注意が必要です。
ここでは、バーチャルオフィスの法人登記についての違法性や怪しいと誤解される理由、利用時の注意点などを紹介していきます。
“住所が汚れている”バーチャルオフィスを借りてしまうと、あなたのビジネスにも悪影響になる可能性があるため、信頼できるバーチャルオフィスサービスを利用してください。
もくじ
バーチャルオフィスの法人登記は違法じゃない!
法人登記に使用する住所は、物理的に実体がないバーチャルオフィスの住所も使用することができ違法ではありません。
企業間の取引の際に公表する住所が必要なためで、そこに実体の有無は定められていないからです。
また、次のようなケースでもバーチャルオフィスの住所を利用することができます。
商標登記法に住所の制限はない
個人事業主をはじめビジネスシーンで商標登記出願が必要になる場合、出願する住所に関する制限はありません。
特許庁などの第三者と連絡を取れる住所ならOKなので、バーチャルオフィスでも問題ないのです。
バーチャルオフィスを利用すれば、法人化しなくても商標登録出願申請が可能となり、自宅住所で申請するよりもプライバシーを保護することができます。
特定商取引法にも問題なく使える
通信販売の営業に関して定める特定商取引法では、商品やサービスを提供する会社に対し氏名や住所など一定事項の提示を定めています。
その中で法人は登記簿上の情報を、個人事業者は戸籍上の情報を掲載することとなっていますが、住所についてはどちらも現在活動している住所を記述するとあります。
バーチャルオフィスの住所でも現在活動している住所と言えるなら特定商取引法違反にならず、電話番号も確実に連絡が取れる番号ならバーチャルオフィスでレンタル中の番号でも問題ありません。
参照:特定商取引に関する法律・解説より
ただし、バーチャルオフィスが違法になる業種あり
バーチャルオフィスの利用や登記が違法となる以下の業種・職種があります。
- 人材派遣業
- 有料職業紹介業
- 弁護士や税理士などの士業
- 金融商品取引業
- 不動産業
- 建設業
- 風俗業
- 古物商が必要なリサイクルショップなど
- 一般廃棄物収集運搬業の認可が必要な不用品回収業など
- 探偵業
ここでは、バーチャルオフィスの利用や登記が違法になる業種とその理由を紹介していきます。
人材派遣業
人材派遣業は、開業時に20㎡以上の事務所・オフィスを契約することが求められ、住所のみのバーチャルオフィスの利用は開業条件を満たすことができません。
そのため規模に関わらずバーチャルオフィスを利用しての開業は違法となってしまいます。
有料職業紹介業
有料職業紹介業を始めるときも物理的に実在する事務所やオフィスの存在が必要になり、バーチャルオフィスの利用は認可が下りません。
求職者との面談スペースが欠かせないことからも、バーチャルオフィスでは開業条件を満たすことができないからです。
弁護士や税理士などの士業
弁護士などの士業は、依頼主との面談スペースが必要な職種です。士業がバーチャルオフィスを事務所として登記した場合は、事務所の実体の確認ができないために違法となる恐れがあります。
金融商品取引業
金融商品取引業は、原則として内閣総理大臣の登録が必要となり登録後に発行される金融商品取引業者登録票を事務所に提示する義務があります。
また、事務所やオフィスの賃貸借契約書が必要となることからもバーチャルオフィスはこの条件を満たすことができないため、バーチャルオフィスを事務所とした場合は違法になります。
不動産業
不動産業は、開業時に宅地建物取引業免許の取得が必須であり、免許の取得には実体のある事務所が必要条件となっています。
実体のないバーチャルオフィスではこれらの条件をクリアできないため、バーチャルオフィスを利用した場合は違法となります。
建設業
建設業は、都道府県による認可基準が異なるものの、認可を受ける際には物理的に実体を確認できる事務所やオフィスが必要です。
バーチャルオフィスで登記してしまった場合は実体がないと判断されるため認可がおりません。バーチャルオフィスであることを隠して認可を受けた場合は違法になります。
風俗業
この場合の風俗業とはパチンコ店・ゲームセンター・バーといった風俗営業認可が必要な業種を指し性風俗店とは異なります。
風俗業のほとんどは実店舗が必要なほか、立地などの諸条件を満たした上で家業認可を得る必要があります。バーチャルオフィスは実店舗がないことがほとんどのため、開業した場合は違法となります。
古物商が必要なリサイクルショップなど
古物商が必要なリサイクルショップなどは、古物商の認可を受ける必要があり、その際には実体ある事務所やオフィスが必要です。
古物商の認可なしで営業すると古物営業法違反となるほか、罰則や行政処分の対象にもなる大きなペナルティを受けます。
一般廃棄物収集運搬業の認可が必要な不用品回収業など
一般廃棄物収集運搬業は、事務所やオフィスの実態がないと認可を得ることができません。そのため、バーチャルオフィスでは要件を満たすことができず、バーチャルオフィスの住所を登記しても認可を得ることが難しいです。
また、認可なしで営業すればこちらも違法となるため、実体ある事務所やオフィスが必要です。
探偵業
探偵業は、開業の際に公安委員会への届け出が必要となり、その際には実体ある事務所やオフィスが不可欠なためバーチャルオフィスでは要件を満たすことができません。
仮にバーチャルオフィスで届け出を出した場合は受理されない可能性が高いです。
バーチャルオフィスは怪しい…違法と誤解される理由
バーチャルオフィスは怪しい、違法ではないかという文言がインターネット上でも目につきますが、なぜそのように誤解されるのでしょうか。
詐欺事件を起こす悪質業者に利用されがち
バーチャルオフィスは、ほとんど実体がない住所のみのレンタルか、実際に建物が存在しても複数の利用者が住所をレンタルしているため、消費者側からは個人を特定することが難しくなります。
こうした特性に目を付けた詐欺業者や悪質業者が利用することが過去にあり、どうしても一部の方々からは誤解されてしまうことが少なくありません。
多くの人が便利に利用できる反面、犯罪に利用されてしまうリスクがあることは注意しておきたいところでしょう。
バーチャルオフィスを利用する際の注意点
バーチャルオフィスを利用する際は、事業の内容にもよりますが注意したいことがあります。当てはまる方は事前に確認しておきましょう。
銀行口座の開設、融資などに不利になることも
事業専用に銀行口座を開設する方や、融資を受ける予定がある場合は、一部の金融機関では実体がない住所であることを理由にそれぞれのシーンで不利になることがあります。
銀行口座開設や融資を受ける際にはどうしても確実な情報が必要となるほか、住所だけレンタルしている状態では金融機関側の心象を悪くすることがあるからです。
ただ、すべてのバーチャルオフィスがNGというわけではなく、近年では金融機関が提供するビルの一部をバーチャルオフィスとして提供したり、金融機関側が銀行口座開設のサポートをしてくれたり、融資の相談に乗ってくれるサービスが登場しています。
金融機関との連携があるバーチャルオフィスなら有利に進められるケースもあるので、銀行口座開設や融資の予定がある方は事前によく確認することをおすすめします。
信用できるバーチャルオフィスの見分け方
バーチャルオフィスを選ぶ際には信用できるところを利用したいものです。そこで、信用できるバーチャルオフィスの見分け方を紹介するので、いくつか候補がある方はぜひ参考にしてください。
本人確認、対面などの厳格な入会審査を実施しているか
バーチャルオフィスには審査があり、その審査を通らないと契約することができません。
審査の内容で注意したいのが、本人確認や対面での入会審査があるかという点で、一般的には申込み時に運転免許証などの公的な書類を提出して本人確認を行います。
場合によっては審査結果を本人確認書類記載の住所に郵送して、受け取りまで確認するなど厳格な入会審査を行うところもあります。
一見すると厳しい印象でも、このくらいしっかりと厳しい審査を行う方が安心して利用できるでしょう。
サービス提供会社のサジェストワードがおかしくないか
バーチャルオフィスには、電話受付やECショップ作成などさまざまなサービス提供があります。
これらのサービス提供会社のサジェストワードのチェックを行い、詐欺などをはじめとするネガティブワードがないか確認しましょう。
おかしなネガティブワードが出てくるようなサービス提供会社と提携している場合、バーチャルオフィス自体も信用できないと判断して良く、事前に調べることであやしい業者を省くことができます。
まとめ
今回は、バーチャルオフィスがあやしいと誤解を受ける理由をはじめ、誤解される理由や登記に関すること、信用できるバーチャルオフィスの見分け方を紹介しました。
ひと口にバーチャルオフィスといっても単純に住所だけ、住所と電話番号、住所と電話番号+さまざまなオプションがあるなど、幅広い用途に対応できるバーチャルオフィスが登場しています。
それだけにビジネスでの利用の幅も広がり、規模や業務内容によっては銀行口座開設や融資の際の住所の問題も浮上してくるでしょう。
しかし、近年では金融機関と提携するバーチャルオフィスも良く見られるようになり、法人登記可能で会議室なども完備している実体あるところも増えています。
用途や規模に合わせて信用できるバーチャルオフィスを選ぶとともに、さまざまなリスクの回避やプライバシーの保護のためにも上手にバーチャルオフィスを活用していきましょう。
こちらの「バーチャルオフィスおすすめ比較!個人事業主が選びたい格安・住所貸しはどこ?」のページも参考にしてくださいね。